改訂新版 世界大百科事典 「マトゥア島」の意味・わかりやすい解説
マトゥア[島]
Matua
ロシア連邦東端,千島列島中部にある楕円形の火山島。日本名は松輪島。南はナデージタ海峡(羅処和海峡)を隔ててラシュア(羅処和)島に,北はゴロブニン(古老仁)海峡を隔ててライコケ(雷公計)島に対する。北東~南西の長軸の長さ14km,周囲32km,面積53km2。中央部に活火山のサリチェボ山(芙蓉山。1446m)が噴出して形成された火山島で,南東方向にすそ野を張り出し,そこに寄生火山天蓋山(127m)をのせる。海岸部には海岸段丘がよく発達している。東岸近くに磐城島があって,錨地である池田湾を季節風から守る。第2次大戦前は根室支庁新知(しんしる)郡に属し,池田湾岸に農林省の海獣保護舎,参謀本部天測点が置かれていた。海獣のやってくる夏から秋にかけてのみ職員が居住し,越年者はいなかった。現在はロシアの測候所が置かれており,毎日の気象通報を行っている。
執筆者:田辺 英一
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