活火山(読み)カッカザン(その他表記)active volcano

デジタル大辞泉 「活火山」の意味・読み・例文・類語

かっ‐かざん〔クワツクワザン〕【活火山】

《「かつかざん」とも》おおむね過去1万年以内に噴火した火山、および現在活発な噴気活動のある火山。日本には111山ある。→休火山死火山常時観測火山
[類語]火山死火山休火山噴火山単成火山複成火山単式火山複式火山海底火山外輪山内輪山噴火口火口火口原火山帯クレーターカルデラ

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共同通信ニュース用語解説 「活火山」の解説

活火山

約1万年以内に噴火したり、現在活発に噴気を出したりしている火山。日本には111あり、世界の活火山の7%を占める。専門家らでつくる「火山噴火予知連絡会」は、今後100年程度の間に噴火する可能性や社会的影響を踏まえ、うち50火山を常時観測対象に選定。気象庁は観測のため、本庁(東京)と札幌、仙台、福岡の各管区気象台に「火山監視・警報センター」を設置している。

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精選版 日本国語大辞典 「活火山」の意味・読み・例文・類語

かっ‐かざんクヮックヮザン【活火山】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かつかざん」とも ) 現在、噴気・噴火などの火山活動をしているか、過去およそ一万年以内に噴火したことのある火山。十勝岳有珠山浅間山阿蘇山三原山、桜島など。
    1. [初出の実例]「西南端に活火山(海抜凡二千七百五十尺)あり、白煙常に蒸騰す」(出典:日本風景論(1894)〈志賀重昂〉四)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「活火山」の意味・わかりやすい解説

活火山
かつかざん
active volcano

活動的で今後も噴火のおそれがある火山のこと。活火山のほかに休火山、死火山ということばもかつては使われたが、休火山と活火山の分類があいまいであることや、死火山と思われていた雌阿寒岳(めあかんだけ)、御嶽山(おんたけさん)などが噴火した例もあり、いまはこれらのことばは使われなくなってきた。

 数万年以上もある火山の寿命からみれば、人間の歴史は一瞬にすぎないため、有史時代に噴火の記録がないからといって、将来も噴火をおこさないという保障はない。世界的にも活火山の定義は明確なものはないが、最近1万年間に噴火したことのある火山の数は1500を超えると考えられている。日本では火山噴火予知連絡会(1974年設置)が1975年(昭和50)以来、活火山の定義を取り決めており、当時は「噴火の記録のある火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山とし、77火山の資料をまとめた(『日本活火山要覧』)。1991年(平成3)には定義を「過去およそ2000年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」に変更し83火山を選定した(1996年に3山追加、86火山となる)。しかし、その後、世界的な動向ともあわせ、かつ、火山学的見地から過去1万年間の噴火履歴で判断するのが適当であるとし、2003年(平成15)「概(おおむ)ね過去1万年以内に噴火した火山、及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山の定義とし、108火山を選定した。さらに、2011年には新たに2火山を追加、2017年には1火山を追加し、111活火山となった。選定された火山は火山学的に評価された火山活動度に基づき、A~Cの3ランクに分類されている。海底火山等、データが不足しているものは活火山と選定しているが、分類はされていない。おもな活火山は以下のとおりである。

(1)ランクA 有珠山(うすざん)(北海道)、浅間山(あさまやま)(群馬・長野)、阿蘇山(あそさん)(熊本)、桜島(鹿児島)など。

(2)ランクB 羅臼岳(らうすだけ)(北海道)、岩木山(青森)、岩手山(岩手)、蔵王山(ざおうさん)(宮城・山形)、吾妻山(あづまやま)(山形・福島)、草津白根山(群馬)、箱根山(神奈川)、富士山(山梨・静岡)、九重山(大分)、霧島山(宮崎・鹿児島)など。

(3)ランクC 大雪山(たいせつざん)(北海道)、八甲田山(青森)、燧ヶ岳(ひうちがだけ)(福島)、赤城山(群馬)、乗鞍岳(長野・岐阜)、由布岳(大分)、開聞岳(鹿児島)など。

 活火山の恵みは大きいが、害も侮りがたい。気象庁は、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された50火山(2021年時点)について、大学等の研究機関や自治体・防災機関等の協力を得ながら、地震計、GNSS衛星測位システム)観測装置、傾斜計、空振計、監視カメラ等により、活動状況を24時間体制で常時観測・監視している。

[諏訪 彰・中田節也]

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百科事典マイペディア 「活火山」の意味・わかりやすい解説

活火山【かっかざん】

現在,噴気活動などを含めた広義の火山活動を行っている火山。しかし火山活動の時間スケールはたいへん長く,たとえば複成火山では,しばしば数万年の休止期間をはさんで活動が継続している。そのため休火山死火山との区別は困難であり,国や研究者によって活火山の定義が異なっている。日本の気象庁では,現在活動中の火山,過去1万年以内に噴火した火山,噴気など熱異常が活発な火山の総称としている。
→関連項目浅間山阿蘇山駒ヶ岳(北海道)桜島白根山(群馬)十勝岳三原山雌阿寒岳焼岳焼山(新潟)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「活火山」の意味・わかりやすい解説

活火山
かっかざん
active volcano

現在噴火や噴気活動を繰り返したり,火山性地震が頻発したりするなど活動が活発になっている火山,および過去およそ 1万年以内に噴火をした火山。世界には約 1500の活火山があるといわれ,大半が環太平洋地帯に分布し,日本には世界全体の約 7%の活火山がある。かつて活火山の語は,文献によって検証可能な歴史時代に噴火記録が残っているものの休止状態にある「休火山」,歴史時代に噴火記録のない「死火山」などと並んで使用されてきたが,1950年代以降,火山の活動期間は非常に長く,数百年程度の活動休止で休火山とするのは妥当ではないことが認識され,気象庁火山噴火予知連絡会は噴火記録の残るすべての火山を活火山と定めた。しかし,記録がなくても火山噴出物から比較的新しい時代の噴火の痕跡が検出される事例もあり,1991年火山噴火予知連絡会は過去およそ 2000年以内に噴火した痕跡のある火山および現在活動中の火山を活火山と定義した。その後,数千年にわたる休止後に活動を再開させた火山が見出され,過去 1万年以内の噴火を妥当とする国際的認識が広がり,火山噴火予知連絡会は 2003年,「概ね過去 1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と再定義した。2020年現在,気象庁は 日本国内の 111の火山を活火山とし,そのうち防災対策上監視を必要とする火山として火山噴火予知連絡会が選定した 50の火山に対し,24時間体制で監視・観測を行なっている(→常時観測火山)。

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知恵蔵 「活火山」の解説

活火山

活動的で近い将来噴火を起こす可能性のある火山。日本では、おおむね過去1万年以内に噴火した記録があるか、現在活発な噴気活動のある火山という基準で、2003年に全部で108の活火山が認定された。また、活動度を示す2つの尺度が見積もられた。(1)過去1万年間の噴火の頻度、規模、爆発性などを定量化した1万年活動度指数、(2)過去100年間の観測データに基づく100年活動度指数。ただし、海底火山と北方領土の火山は、データ不足のため評価の対象外。2つの活動度指数を用いて、活火山は3段階に分類された。Aランク(最も活動度が高い)は有珠山、浅間山、三宅島、桜島など13火山、Bランク(活動度は中程度)の火山は富士山や霧島山など36火山、Cランク(活動度は最も低い)の火山は赤城山など36火山。現在は活動的でないが将来噴火しそうな火山を休火山、今後噴火しそうにない火山を死火山と呼ぶが、その判定は難しく、火山の分類に適用されることは少ない。

(井田喜明 東京大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

岩石学辞典 「活火山」の解説

活火山

現在噴火または噴気活動を続けている火山.以前は明治時代以後活動をしていない火山のうち,歴史時代に噴火記録のある火山を休火山,噴火記録のない火山を死火山とよんだが,この名称は便宜的で区別が困難であり,現在は歴史的に噴火記録のある火山はすべて活火山としている.

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世界大百科事典(旧版)内の活火山の言及

【火山】より

…したがって古い地質時代の火山は火山噴火地点としての意味が強い。
【活火山,休火山,死火山】
 火山を,(1)現在盛んに活動中のもの,(2)噴火の記録はあるが,現在は噴火もせず,噴気・硫気活動もないもの,(3)噴火の記録は残されてなく,現在も火山活動はないが,その形や構造から火山と認定されるものに分け,(1)を活火山active volcano,(2)を休火山dormant volcano,(3)を死火山extinct volcanoと呼ぶことがある。この分類は長いこと一般に使われていたが,便宜的なもので,休火山や死火山と考えられていたものが再び活動した例はいくつもある。…

※「活火山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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