マノレスコ(その他表記)Georg Manolesco

改訂新版 世界大百科事典 「マノレスコ」の意味・わかりやすい解説

マノレスコ
Georg Manolesco
生没年:1871-1911

一世を風靡(ふうび)したルーマニア生れの泥棒王。本名はマノレスクGeorgu Mercadant Manolescu。世紀末の優雅な泥棒詐欺師として2000万マルク(現行邦貨約100億円)の稼ぎを上げた。ベル・エポックのパリ社交界にルーマニア貴族のふれ込みで押し出し,貴婦人たちを色仕掛けでくどきながらその首や腕から宝石を失敬した。のちにアメリカに渡って零落,いかさまカードでゴールドラッシュの成金相手の賭博師となるが,酷寒カナダ転倒黄金右腕を骨折して犯罪稼業から引退した。その回想録はT.マンの《詐欺師フェーリクス・クルルの告白》(1954)の種本とされている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 種村

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android