改訂新版 世界大百科事典 「マルチミラー望遠鏡」の意味・わかりやすい解説
マルチミラー望遠鏡 (マルチミラーぼうえんきょう)
multiple mirror telescope
MMTともいう。天体望遠鏡は微光の天体からの光を集める装置であり,集光力は口径の2乗に比例する。大口径望遠鏡は製作上種々の困難があるので,主鏡面を複数個に分割し各鏡からの像を光学的に重ね合わせて集光力を増大させる。これをマルチミラー望遠鏡といい過去にもいくつかの試みが行われた。現在MMTと呼ばれるものはアメリカのスミソニアン天文台とアリゾナ大学の協同でホプキンス山に建設されたもので,6本の1.8m反射望遠鏡を六角形状に配置し中央で6個の像の合成を行う。像合成の性質上写野は著しく狭いが,集光力の点では4.5m望遠鏡に相当する。実験機の性格をもち種々の新しい試みがとり入れられている。
執筆者:山下 泰正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報