ミカンハダニ(読み)みかんはだに(英語表記)citrus red spider mite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミカンハダニ」の意味・わかりやすい解説

ミカンハダニ
みかんはだに / 蜜柑葉蜱
citrus red spider mite
[学] Panonychus citri

節足動物門クモ形綱ダニ目ハダニ科に属する植物寄生性のダニ。国内では北海道、本州、四国、九州に分布する。柑橘(かんきつ)類の重要害虫。体長、雌0.45ミリ内外、雄0.3ミリ内外。体色は赤色。淡赤色の太い背毛が背面の瘤(こぶ)(赤色)から生えている。脚長は胴長の半分くらい、脚(あし)は白みを帯びた橙(だいだい)色を呈す。卵は赤色。年間世代数は静岡県の柑橘類で13~14回、普通、夏と秋の二山形の発生のピークをもつ。柑橘類のほか、クワ、モモ、ナシに普通に寄生する。ミカンに寄生した場合には、葉の表裏両面に散開して生息し、加害する。緑枝にも寄生する。吐糸行動を行うが、網は形成しない。一般に柑橘寄生系統は冬期休眠をしないが、クワ寄生の系統は卵態で休眠し越冬する。

[森 樊須]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のミカンハダニの言及

【ハダニ】より

…日本からは約60種が知られるが,次のものはとくに重要害虫である(かっこ内はおもな寄主植物)。ミカンハダニPanonychus citri(かんきつ類),リンゴハダニP.ulmi(リンゴ),スギノハダニOligonychus hondoensis(スギ),トドマツノハダニO.ununguis(クロマツ,アカマツ,ヒノキ,モミ,トドマツ,エゾマツ,クリ),オウトウハダニTetranychus viennensis(リンゴ,ナシ,オウトウ,サクラ,ウメ,モモ),カンザワハダニT.kanzawai(寄主植物多数,チャの害虫として著名),ニセナミハダニT.cinnabarinus(寄主植物多数),ナミハダニT.urticae(イラスト)(寄主植物多数)。ハダニの有力な天敵の一つとしてカブリダニがある。…

※「ミカンハダニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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