ミナミトックリクジラ(その他表記)Hyperoodon planifrons; southern bottlenose whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミナミトックリクジラ」の意味・わかりやすい解説

ミナミトックリクジラ
Hyperoodon planifrons; southern bottlenose whale

クジラ目ハクジラ亜目アカボウクジラ科トックリクジラ属。最大体長記録は雄約 7.2m,雌約 7.8m。出生体長は約 2m。体色は背部と胴部が茶灰色または黒灰色で,腹部は白っぽい灰色である。胸鰭 (むなびれ) と尾鰭は,胴部よりも濃い色を呈する。幼鯨は成鯨に比べ茶色がかっている。成鯨の大型個体は体色が白みを増し茶白色に近くなる。噴気孔は1個で頭部正中線上に位置する。前頭部が丸くふくらみ張出しており,雄は年齢とともにふくらみを増し,キタトックリクジラよりもさらに前方に突出する。嘴 (くちばし) は太く短い。咽喉部に長さ約 40cmのハの字状の溝が2本ある。背鰭は大きく,体の後方3分の2に位置し,三角形状で先端はとがり後縁は鎌状である。胸鰭は小さくその先端はとがらない。歯は下顎先端に1対あるのみ。群れは 10頭をこえることはまれである。おもにイカ類を捕食する。南半球の南緯 29゜付近から氷縁の極域にかけて周極分布し,夏季の南氷洋ではマッコウクジラよりも多く生息する。

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