ムカシカワトンボ

改訂新版 世界大百科事典 「ムカシカワトンボ」の意味・わかりやすい解説

ムカシカワトンボ (昔河蜻蛉)

トンボ目ムカシカワトンボ科Amphipterygidaeの昆虫総称。世界にAmphipteryx(中央アメリカ),Pentaphlebia(熱帯アフリカ),Diphlebia(オーストラリア),Devadatta(東南アジア),Philoganga(中国,ヒマラヤ)の5属約15種が知られている。カワトンボ群の祖先型と考えられる遺存群で,翅の縦脈分岐が翅の基方に片寄り,結節前横脈は2個以上ある。カワトンボ型のもの(Devadatta属)もあるが,イトトンボ式のもの(Pentaphlebia属),また太短いもの(Diphlebia属)もあり,巨大でグロテスクなもの(Philoganga属)もある。静止の際には水平に近く止まって翅をほとんど全開する性質がある。幼虫渓流に生息し,尾鰓(びさい)は複雑に変形している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムカシカワトンボ」の意味・わかりやすい解説

ムカシカワトンボ
むかしかわとんぼ / 昔河蜻蛉

昆虫綱トンボ目ムカシカワトンボ科Amphipterygidaeの昆虫の総称。カワトンボ群全体の祖先型と考えられる1科で、はねの結節前横脈は2個以上ある。現在、遺存的に次の5属が知られている。フィロガンガ属Philoganga(中国、ミャンマービルマ)、アッサム地方)、デバダッタ属Devadatta(南アジア東部)、ディフレビア属Diphlebia(オーストラリア)、アンフィテリックス属Amphipteryx(中央アメリカ)、ペンタフレビア属Pentaphlebia(アフリカ熱帯部)。一般に体躯(たいく)の太いカワトンボで、はねを開いて静止する。幼虫の尾鰓(びさい)には特異な構造があり、流れのある川底に生息している。

朝比奈正二郎

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