ムチヤギ（読み）むちやぎ

日本大百科全書(ニッポニカ)

ムチヤギ
むちやぎ / 鞭海楊
[学] Ellisella rubra

腔腸(こうちょう)動物門花虫綱八放サンゴ亜綱ヤギ目全軸亜目ムチヤギ科に属する海産動物。相模(さがみ)湾以南の西太平洋からインド洋の暖海に広く分布する。全軸亜目のうち、骨軸に節部と間節部が交互に並ぶことがなく一続きで、骨軸は強く石灰化され、その髄部は大きくてその中が多房状に小室にくぎられることがなく、個虫は共肉中に完全に縮退して各個虫先端に蓋(ふた)状構造を欠き、個虫柄部をほとんど欠くのがムチヤギ科の特徴である。また、ムチヤギ科のなかで、個虫柄部がやや突出し、共肉皮層と触手とが異なった骨片を含むことがEllisella属の特徴で、ムチヤギはそのなかの1種である。群体は1本の鞭(むち)状で分岐せず、骨軸は強く石灰化するために硬く、弾力性はない。共肉および個虫は朱色ないし橙(だいだい)色を帯びる。水深20メートル以深の岩礁上に固着する。

［内田紘臣］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内のムチヤギの言及

【ヤギ】より

…　骨軸亜目にはイソバナMelithaea flabelliferaや有用種であるアカサンゴCorallium japonicum（イラスト）などが含まれる。全軸亜目にはハナヤギAnthoplexaura dimorpha，トゲヤギAcanthogorgia japonica，ムチヤギEllisella rubraなど多くの種類がある。骨軸の硬度が高いものは加工して装飾品に用いられる。…

※「ムチヤギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」