改訂新版 世界大百科事典 「ムンディガク」の意味・わかりやすい解説
ムンディガク
Mundigak
アフガニスタン南東部,カンダハール北西約32kmにある先史遺跡。1951-58年にJ.カザルが発掘し,7時期の文化をあきらかにした。最古のⅠ期は定着にはいった時代で,ろくろ,銅を使用し,その末期は土器文様上,南部トルクメニスタンと連絡がみとめられる。Ⅱ期は沈滞期で手づくね土器に代わり,石製印章がはじめて現れる。Ⅲ期は六つの建築期に細分される発展時代で,バルーチスターン,トルクメニスタン南部,イラン南部などと広範な交流が認められる。Ⅳ期はⅢ期の延長線上にあって最盛期を現出し,稜堡つきの大城壁にかこまれ,王宮,神殿をそなえ,都市化した。特殊な形態の動物文(土器)はイラン南西部やバルーチスターン南部とも関係し,台付杯の菩提樹葉文はインダス文明都市期の初期にみられる。Ⅴ期は前代と断絶した文化で,土器は再び手づくねとなり,周囲に小室がついたテラスを積みあげて,ピラミッド状にした建造物があり,中央アジア,フェルガナ地方のものと類似する点が多いといわれるが,両者には時期差がある。かなりの時間を経たのちにⅥ・Ⅶ期の鉄器文化層となり,少数の住居跡が発見されただけである。この遺跡の重要性はとくにⅢ~Ⅳ期にあり,Ⅳ期は,前3千年紀中ごろにイランからインダスまでを通じておこった陸上交易の停廃によって廃絶したらしい。
執筆者:桑山 正進
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