日本大百科全書(ニッポニカ) 「メクラウオ」の意味・わかりやすい解説
メクラウオ
めくらうお / 盲目魚
blind cave characin
[学] Astyanax mexicanus
硬骨魚綱カラシン目カラシン科に属する淡水魚。メキシコのサン・ルイス・ポトシ付近の洞穴に生息する。発生途中で目が発達を停止し、皮下に埋没している盲目魚で、熱帯魚としてよく飼育されている。体の黒色素も発達せず、体色は桃白色。本種はメキシコに広く分布している魚で、地上性の個体は通常の目をもっており、かつては地下性のメクラウオのみをAnoptichthys jordaniの学名を与えて区別していた。側線感覚と嗅覚(きゅうかく)がよく発達しており、巧みに障害物を避け、餌(えさ)を捕食する。飼育下での繁殖も容易である。精子は水中で長時間活性を保つといわれ、これも環境への適応の一つと考えられている。体長約8センチメートルに成長する。
[多紀保彦]