日本大百科全書(ニッポニカ) 「メタメリズム」の意味・わかりやすい解説
メタメリズム
めためりずむ
metamerism
構造の違いによって生ずる異性の一つ。おもに有機化合物にみられる異性で、化学的性質が類似しているが、多価原子に結合している水素原子の個数が異なる場合の異性。メタメリーともいう。たとえば、プロピルアミンNH2CH2CH2CH3あるいはイソプロピルアミン(CH3)2CHNH2とトリメチルアミン(CH3)3Nは、いずれも分子式がC3H9Nとなる脂肪族アミンであるが、多価原子である窒素原子に対して、前2者には2個の水素原子が結合しているが、後者には1個も結合していない。前2者のプロピルアミンとイソプロピルアミンとの関係は連鎖(鎖形)異性であり、ともに2個の水素原子が窒素原子に結合しているので、メタメリズムとはいわない。
[岩本振武]