異性(読み)イセイ

化学辞典 第2版「異性」の解説

異性
イセイ
isomerism

】分子式は同じであるが,構造が異なるため,物理的または化学的性質の異なる物質が,2種類以上存在する現象をいい,この関係にある化合物を異性体という.異性現象は,1823~1824年ころにF. Wöhler(ウェーラー)とJ. Liebig(リービッヒ)が,性質の異なるシアン酸銀と雷酸銀をそれぞれ独立に研究し,いずれも同一の分子式で表されることを発見したのが最初である.異性体は,構造異性体と立体異性体に大別される.構造異体は,原子結合順序が異なる異性体で,さらに炭素鎖異性体,位置異性体,官能基異性体,互変異性体,その他に分類される.立体異性体は,原子や原子団の立体配置の違いにもとづく異性体(光学異性体,幾何異性体)と,立体配座の違いにもとづく異性体(配座異性体,回転異性体)に分けられるが,常温で別々に単離できない配座異性体は,異性体のなかに入れないことがある.【】[別用語参照]核異性

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精選版 日本国語大辞典「異性」の解説

い‐しょう ‥シャウ【異性】

〘名〙
① 仏語。二十四不相応行法の一つで不和合性のこと。因縁の和合によってものが成立する場合、その和合をさまたげるもの。また、その能力、性質。
② ばけもの。へんげ。

い‐せい【異性】

〘名〙
① 他のものと違った性質をもっていること。また、そのもの。⇔同性
※異人恐怖伝(1850)上「彼此各々(おのおの)異種、異性、殊状、殊品ならむこと、是皆決定し難からざるの道理なり」
② 男(雄)と女(雌)の性が違っていること。また、そのようなものどうし。特に、男が女を、女が男をさしていう語。⇔同性
※春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉壱円紙幣の履歴ばなし「意もろき異性(イセイ)を風前の鵞毛とせんとするにひとし」
③ 化学で、分子式は同じであるが、構造の異なる物質が二種以上存在する現象。異性体。
[語誌]②の用法は明治期に始まる。単なる「性質を異にする」意から男女の区別を表わす用法に転じたのは、明治期に語基「性」が英語 sex あるいは gender の訳語として定着したためと考えられる。

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百科事典マイペディア「異性」の解説

異性【いせい】

分子式や化学式は同じだが,構成する原子の立体的な配列などが異なるため,物理的あるいは化学的性質の異なる物質が二つ以上存在するような現象を異性といい,それぞれの物質を互いに異性体という。無機化合物有機化合物のいずれにも多くの異性現象がみられ,構造異性互変異性立体異性幾何異性光学異性)などがあるが,その他錯化合物には多くの種類の異性(イオン化異性配位異性など)がみられる。

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デジタル大辞泉「異性」の解説

い‐せい【異性】

男女・雌雄の性が異なること。特に、男性から女性を、女性から男性をさしていう。「異性との交際」⇔同性
性質が違うこと。また、その性質。
異性体の関係にあること。

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世界大百科事典 第2版「異性」の解説

いせい【異性 isomerism】

分子式あるいはそれに対応する化学式は同じであるが,構成する原子の立体的な配列その他が異なるため,物理的および(または)化学的物質が異なる化学種が二つまたはそれ以上存在するとき,これらはたがいに異性体isomerであるといい,またこの現象を異性という。 異性現象の発見は有機化学発展に大きな貢献をした。19世紀の最初の四半世紀元素分析技術は向上し,今日の分子式に相当するものがかなり正確に求められるようになってきた。

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