改訂新版 世界大百科事典 「モレア」の意味・わかりやすい解説
モレア
Moraea
観賞用に栽培されるアヤメ科の多年草。日本ではほとんど普及していないが,ヨーロッパでは古くから栽培される。花や栄養器官の形態はアヤメ属にひじょうによく似ており,互いに近縁である。アヤメ属とは花被片の基部が合着しないこと,地下に球茎を持つことで区別される。モレア属Moraeaには約100種があり,アフリカ中・南部に分布する。そのうち約25種が栽培化されている。M.iridioides L.(英名African iris)は,外花被は白色で長さ約3cm。弁状の花被は帯紫色である。M.pavonia Ker(英名peacock iris)は花色の変化に富み,青,紫,黄,橙色などの系統がある。外花被は長さ約3cm。葉に軟毛があるのが特徴である。M.spathacea Kerは,モレア属の中では大輪花の種で外花被は長さ約4cm。鮮やかな黄色である。
執筆者:矢原 徹一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報