ヤサウィー教団(読み)ヤサウィーきょうだん

改訂新版 世界大百科事典 「ヤサウィー教団」の意味・わかりやすい解説

ヤサウィー教団 (ヤサウィーきょうだん)

中央アジアのヤス(現,トゥルケスタン市)を本拠としたイスラム神秘主義教団タリーカ)。11世紀後半に中央アジアのサイラムに生まれたトルコ人アフマド・ヤサウィーAḥmad Yasavī(?-1166・67)を創設者として,中央アジアおよびボルガ沿岸の遊牧トルコ人の間に多くの信徒を獲得し,ヤスの町にあるアフマドの霊廟はトルコ人たちの間で聖地として名高い。アフマドとその後継者たち(アタの号をもつ)は,その神秘思想をトルコ語の俗語を用いた詩・歌謡の形で人々の間に広めることに努めた結果,彼らによって神秘主義的トルコ民俗文学と呼ばれる一つの新しい文学ジャンルが確立された。アフマドの作とされる《ディーワーネ・ヒクマト》,ハキーム・アタの《バクルガン・キターブ》などはその代表的作品である。なおアフマドの孫弟子にあたるハーッジー・ベクターシュは小アジアにおいてイエニチェリと関係のあったことで名高いベクターシュ教団を創設した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android