ベクターシュ教団(読み)ベクターシュきょうだん

改訂新版 世界大百科事典 「ベクターシュ教団」の意味・わかりやすい解説

ベクターシュ教団 (ベクターシュきょうだん)

トルコの神秘主義教団。開祖ハーッジー・ベクターシュḤājjī Bektāsh(?-1337ころ)は一説では12世紀にホラーサーンからアナトリアに到来したが,教団の組織化は15世紀初めから1世紀間にわたって進められた。15世紀後半にはイエニチェリ軍団と結合し,その教育と戦場への従軍において排他的な特権を維持した。1826年マフムト2世のイエニチェリ掃滅に伴い同教団も弾圧を被ったが,再び勢力を回復し,近代民衆文学運動の一翼を担った。1925年の法令で解散を命じられたが,アルバニアユーゴスラビアの一部に残存している。教義の上ではイスラム以前のトルコ的伝統を保持すると同時に,多くのキリスト教(とくに東方正教)との共通要素を含み,これがイエニチェリ兵士やバルカン出身者の帰依を容易にしたと考えられる。オスマン帝国体制に対し,民衆の立場から反乱を指導し,女性の地位を尊重するなど,イスラム正統派にみられない自由な行動様式が特徴的である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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