…これは,以降のドイツのロッテ・ライニガーの世界最初の影絵アニメ《アクメッド王子の冒険》(1926),フランスのアレクサンドル・アレクセイエフの〈ピン・スクリーン〉《禿山の一夜》(1933),エクトル・オッパンとアントニー・グロスの実験的な《生きる歓び》(1936)などへと続く流れの源流で,アニメーションを漫画=大衆娯楽として発達させたアメリカとは対照的に,あくまでも純粋な美術的表現技術として受け止めたヨーロッパ的傾向が,このあたりからすでに際だって見られる。 その後もフランスでは,ポール・グリモーの独裁者を風刺した童話的な漫画映画《やぶにらみの暴君》(1953)およびその完全版として手直しされた《王様と鳥》(1979)や,ポーランド生れのワレリアン・ボロフチクの,単純なモノクロのデッサンの中に,時として強烈な赤を用いたりする残酷アニメ《カバール夫妻の芝居》(1967),ロラン・トポールの原画を〈切紙〉で動かしたルネ・ラルーのSFアニメ《ファンタスティック・プラネット》(1973。チェコとの合作)等々,いくつかの劇場用長編アニメが製作されたが,いずれも興行的な成功には至らなかった。…
※「やぶにらみの暴君」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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