改訂新版 世界大百科事典 「ヤペタス」の意味・わかりやすい解説
ヤペタス
Iapetus
土星の第Ⅷ衛星。1671年G.D.カッシーニによって発見され,ギリシア神話のティタン神族の一人イアペトスにちなんで名付けられた。軌道半径356万0300km(土星半径の59.34倍),公転周期79.3301日。半径は718km,質量は1.88×1024g(土星の3.31×10⁻6倍)で,平均密度は1.21g/cm3と求められる。土星の東側にあるときと西側にあるときの明るさが最大7倍も変化する(西側にあるときが明るく,最大光度10.8等)ことで有名であるが,惑星探査機ボエジャー2号の撮影した写真によれば,アルベドが50%の地域と5%の地域が存在することがわかった。アルベドの低い地域は公転方向に向いており,外から何か黒い物質が降ってきたとも考えられる。
執筆者:田中 済
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報