日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユスフ」の意味・わかりやすい解説
ユスフ
ゆすふ
Abdullahi Yusuf Afmed
(1935―2012)
ソマリアの軍人、政治家。軍の司令官を務めていたが、1969年のモハメド・シアド・バーレMohamed Siad Barre(1919?―1995)少将(後に大統領)によるクーデターに加わらなかったため、逮捕・投獄された。1975年に釈放。その後、バーレ政権転覆計画を指揮したが失敗、隣国ケニアに亡命しゲリラ活動を始めた。1985年、エチオピア・ソマリ州の帰属をめぐり、エチオピアのメンギスツ軍事政権と対立。エチオピアの首都アディス・アベバで逮捕・投獄されたが、メンギスツ政権が1991年に崩壊したのを機に釈放された。
1998年7月、ソマリア北東部に自治政府「プントランド」を樹立し、初代「大統領」に就任。2001年に選出された後任の「大統領」との武力衝突の結果、実権を奪還した。2004年10月、ケニアのナイロビに活動拠点を置くソマリア暫定連邦議会により、暫定大統領に選出された。選出直後、「暫定政権を年内にはソマリアに戻す」と語っていたが、すぐには実現せず、2005年6月から暫定政権の本国帰還が開始された。2008年12月大統領を退任した。
[金子 亨]