日本大百科全書(ニッポニカ) 「メンギスツ」の意味・わかりやすい解説
メンギスツ
めんぎすつ
Mengistu Haile Mariam
(1937― )
エチオピアの軍人、政治家。少数民族の貧民の子に生まれ、ホレタ陸軍士官学校を卒業。少佐として陸軍第三師団在勤中に起こった軍隊の反乱が革命へと転化する過程で、デルグ(軍事調整委員会)副議長として台頭し、さらに議長として革命の指導権を握った。1974年9月ハイレ・セラシエ皇帝の廃位とともに軍事政府(臨時軍事行政評議会)が成立すると、これを背後から操作し、マルクス主義的な路線にたって革命を推進した。1977年臨時軍事行政評議会の3代目議長に就任、名実ともに革命の第一の指導者となった。1984年民政復帰への第一歩として創設されたエチオピア労働党(WPE)の初代書記長に、1987年9月民政移管と同時に初代大統領に就任した。しかし、1991年5月反政府勢力エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)に首都を包囲され、ジンバブエに亡命した。その後、メレス政権によって大量殺戮(さつりく)などの人道に対する罪で起訴され、1995年、アディス・アベバにて欠席裁判が行われた。2008年5月エチオピア最高裁は死刑の判決を下した。
[小田英郎]