日本大百科全書(ニッポニカ) 「よだれ」の意味・わかりやすい解説
よだれ
よだれ / 涎
口外に垂れ流れた唾液(だえき)のことで、締まりのない口から流れ出る場合と、唾液の分泌過多による場合(流涎(りゅうぜん))とがある。
出生直後は唾液の分泌が少ないのでみられないが、2~3か月ころから分泌が盛んになるほか、飲み込むことをあまりせず、口の締まりも緩いことなどの理由で、よだれがきわめて多くなり、よだれ掛けが必要になってくる。一般に乳児期にもっとも普通にみられ、歯の生え始めるころに目だつ。幼児期に急に多くなる場合は、口内炎などの病気か、欲求不満などの精神的原因が考えられる。
流涎は唾液過多症ともいい、唾液分泌が異常に亢進(こうしん)するため口腔(こうくう)内に大量の唾液が貯留し、絶えず吐き出したり頻回に嚥下(えんげ)する。原因としては、流行性耳下腺(せん)炎の快復期や唾液腺腫瘍(しゅよう)などの唾液腺自体の疾患をはじめ、口内炎や歯肉炎などの口腔内の急性炎症、むし歯、不適合な義歯、吐き気、喫煙、香辛料などの刺激によって反射的におこる場合が多い。
[山口規容子]