吐き気(読み)はきけ

食の医学館 「吐き気」の解説

はきけ【吐き気】

《どんな症状か?》


 脳の延髄(えんずい)の第四脳室付近に、嘔吐(おうと)を起こさせる嘔吐中枢があります。それが刺激されると、その信号が迷走神経、脊髄(せきずい)神経、横隔膜(おうかくまく)神経を介して腹部の筋群に伝えられ、吐き気が起こります。吐き気に続いて嘔吐が起こる場合もありますし、吐(は)き気(け)だけが起こることもあります。
 おもな原因としては、食べすぎや飲みすぎ、食あたりかぜやインフルエンザなどの感染症、それに胃(い)十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)などの消化器官の疾患が考えられます。
 嘔吐をくり返すようなときは、小児科医の診察が必要です。

《関連する食品》


〈食あたりにはアズキ、乗り物酔いにはショウガ〉
○栄養成分としての働きから
 豚肉やダイズアズキに含まれるビタミンB1は、肝臓や腎臓(じんぞう)に負担をかける有害物質を排除して、吐き気を解消する働きがあります。
 また、吐き気にはショウガが有効だとする研究も多く、辛み成分であるジンゲロンや油性ショウガオールが吐き気をやわらげると考えられています。
 ショウガのすりおろしに水を加えて煎(せん)じ、1日数回、はちみつと混ぜてスプーン1杯ずつ服用すると、乗り物酔いなどに効果的です。
 また、ペパーミントにも吐き気を予防する働きがありますから、冷たいミントティーもおすすめです。
○漢方的な働きから
 刺身にはかならずショウガとシソの葉がつきものですが、この両者はたいへん解毒作用の強い食品だからです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「吐き気」の意味・わかりやすい解説

吐き気
はきけ

医学的には悪心(おしん)という。一般には、胃の食物内容などを食道口腔(こうくう)を経て外に吐き出す現象である嘔吐(おうと)に先だっておこる「むかむか」して吐きそうになる不快感を意味している。吐き気は種々の原因によっておこるが、延髄にある嘔吐中枢が直接あるいは間接に刺激されることによっておこるとされている。不消化な食物を食べたとか、胃下垂、胃炎、胃潰瘍(かいよう)などの場合におこることが多いが、中毒、脳圧上昇、脳神経刺激、精神的状況などによっておこることも少なくない。さらに、いわゆる乗り物に酔うとか、あるいは妊娠の際の「つわり」による早朝時や空腹時の吐き気などは、それほど病的なものとは理解されないし、個人差もまた大きい。

[渡辺 裕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吐き気」の意味・わかりやすい解説

吐き気
はきけ
nausea

悪心。延髄の嘔吐中枢に刺激が加わったときに起る不快な現象。嘔吐の前駆症状であることが多いが,必ずしも嘔吐は伴わない。種々の胃疾患,中毒,脳圧亢進,妊娠悪疽,乗物酔い,メニエール症候群などで起る。治療には原因の除去が第一であるが,鎮静剤,鎮吐剤,吐剤,下剤の投与,胃洗浄などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「吐き気」の意味・わかりやすい解説

吐き気 (はきけ)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の吐き気の言及

【嘔吐】より

…胃内容物が口から吐き出される反射運動。一種の毒物に対する防御反応で,嘔吐に際しては吐き気を伴う。
[吐き気と嘔吐のしくみ]
 吐き気nauseaは悪心ともいい,舌根,咽頭,むなもとに感じる特有の不快感で,〈むかつく〉とも表現され,同時に唾液分泌の増加(なまつば),冷汗,顔面蒼白,脈拍数の増加が起こる。…

【悪心】より

…吐き気,嘔気ともいい,今にも嘔吐しそうな不快な感覚をいう。嘔吐に先行することが多い。…

※「吐き気」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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