ヨーロッパ戦略投資基金(読み)よーろっぱせんりゃくとうしききん(英語表記)European Fund for Strategic Investments

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨーロッパ戦略投資基金」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ戦略投資基金
よーろっぱせんりゃくとうしききん
European Fund for Strategic Investments

ヨーロッパ経済を活性化するための公的基金欧州戦略投資基金ともいう。略称EFSI。ヨーロッパ委員会の委員長ユンケルJean-Claude Juncker(1954― )がギリシア債務危機以後低迷を続けるヨーロッパ経済を活性化するために打ち出したヨーロッパ投資計画中核をなす基金で、ユンケル基金Juncker Fundとよばれることもある。ヨーロッパ議会ヨーロッパ連合EU)閣僚理事会はヨーロッパ委員会が提出した基金設置法案を採択し、2015年7月に正式発足した。規模は210億ユーロで、EUが160億ユーロを信用保証し、EUの政策金融機関であるヨーロッパ投資銀行EIB)が50億ユーロを拠出した。同基金が初期投資の損失リスクを負うことで、域内外からの民間投資の呼び水となり、官民あわせて基金規模の15倍の3150億ユーロ(約43兆円)の投資を促す計画である。なお、域外からは中国政府がヨーロッパ戦略投資基金への拠出を表明しているが、これはイギリス、フランス、ドイツなどの主要国が中国主導のアジアインフラ投資銀行AIIB)設立に協力する姿勢を表明したことへの対応とみられている。

[矢野 武 2016年4月18日]

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