ヨーロッパ連合(EU)の政策金融機関。略称EIB。ヨーロッパ経済共同体(EEC)設立条約(ローマ条約)に基づいて1958年に開設された。ヨーロッパ地域内の均衡のとれた経済発展を目的とした投資銀行で、融資額は年600億~800億ユーロにのぼり、世界銀行(国際復興開発銀行)の融資額に匹敵する。日本では「欧州投資銀行」ということもある。本部はルクセンブルクで、EU加盟国が各国の国内総生産を基準に出資し、経済・金融・技術などの専門家およそ800人が勤務している。最高意思決定機関は総務会で、EU加盟国の財務担当大臣28人で構成する。
ヨーロッパ投資銀行は、EUの信用力を背景に最上級(トリプルA)格付けの債券を発行することで、融資資金を低利で調達している。融資先は、域内格差を是正し均衡ある発展を促すため、道路・鉄道・空港・ダム・農業用水などのインフラ整備のほか、成長分野である環境・エネルギー・電気通信分野や中小企業対策などである。最近は成長著しいアジア・中東・アフリカなどのヨーロッパ地域外にも、総融資額の10%を超えない範囲で積極的に融資している。1件あたりの融資上限は事業費の50%と決められており、残りは民間資金を活用することで民間融資の活性化を促す仕組みをとっている。1991年のソ連崩壊後、旧ソ連・東欧地域の市場経済化を支援するため、日米英仏独など主要40か国とともに出資してヨーロッパ復興開発銀行(EBRD)を設立。2009年のヨーロッパ債務危機以降は、増資を繰り返し、ヨーロッパ景気を下支えするため積極的に投融資を実施した。2015年にはEUとともに基金を設立し、総額3150億ユーロ(約46兆円)の投資計画を打ち出した。2014年のクリミア紛争時には、経済制裁としてロシア国内への新規融資を停止した。また1977年に、海外市場で初の円債(ユーロ円債)を発行するなど、世界銀行と並んで金融の国際化にも貢献している。
[矢野 武 2015年7月21日]
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