ライトトラック(読み)らいととらっく(その他表記)light truck

知恵蔵 「ライトトラック」の解説

ライトトラック

SUV、バン(大型のコンベンショナルバンとミニバン)、ピックアップトラックが含まれる米国自動車車種の総称。米国自動車市場での車種区分は、パッセンジャーカー(セダン型)とライトトラックに分けられる。SUVとは日本車でいうRV(recreational vehicle)のオフロードタイプである。未舗装道路でも高い走破性を持ち積載量も多いので、レジャーには最適な高級車である。バンはクライスラーが最初に開発した、多数の乗員が可能で子供のいる家族向きの車。ピックアップトラックに対応する日本の車はないが、日本のボンネットつき小型トラックで後部荷台が架装されていない車に近い(ただし運転乗用席が4人用のものもある)。米国独特の車種タイプであり、価格はSUVより安く米国人が非常に好む車種である。日本から輸出されているトヨタのRAV4・LX470(日本名ランドクルーザー)、日産パスファインダー(日本名テラノワゴン)、ホンダのCR‐VはSUVに区分される。米国現地生産のトヨタのセコイア、ホンダのMDXはSUV、トヨタのシエナ、日産のクエスト、ホンダのオデッセイはミニバンの区分になる。こうした区分方法は、米国の完成車輸入関税乗用車(パッセンジャーカー)で2.5%、商用車(ライトトラック)で25.0%となっていることと関係する。つまりライトトラック区分の自動車を日本から輸出すると25%の関税がかけられ、米国市場での販売価格が上昇する。米国ではライトトラックシェアが50%を超えており、かつトラックプラットフォームを使う車づくりなので、利益幅が大きい。1990年代の米国自動車メーカーの好調は、このライトトラック市場の成長に支えられていた。その後、2000年以降の不調は、この市場シェアを日本メーカーに奪われていることが原因の1つになっている。

(大鹿隆 東京大学ものづくり経営研究センター特任教授 / 藤本隆宏 東京大学大学院教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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