ラオス文学(読み)ラオスぶんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラオス文学」の意味・わかりやすい解説

ラオス文学
ラオスぶんがく

古典文学はほとんどが宗教,教訓文学で,インドの影響が濃く,隣国のタイ,カンボジアと類を同じくするものが多い。たとえば,『ミリンダ王の問い』などの仏教経典の翻訳,『パンチャタントラ』を翻案した動物説話,ジャータカからとった『本生譚十頌』 Xip Xatなど。また『ラーマーヤナ』のラオス版である『パラック・パラーム』 Phalak Phalam,タイの『シー・タノン物語』にあたる『シエン・ミエン』 Xieng Miengはよく知られている。ラオス固有のものとしては,16世紀初めの作者不明の戦争叙事詩『フン大王』 Thao Hung,17世紀なかばのパン・カム Pang Kam作の『シン・サイ物語』 Sin Xayなどがある。後者は文学的にも思想的にもすぐれ,ラオス韻文学最高の傑作といわれる。このほか俚諺 (りげん) 物語『シオ・サワット』 Sio Sawatをはじめとする口承民間説話が数多く残っている。フランス領時代はみるべき文学はないが,独立後は,タオ・ケン Thao Kene,ニュイ・アパイ Nhouy Abhay (『シン・サイ物語』をフランス語訳出,紹介した) らが創作,翻訳,評論活動を行なっている。いわゆる愛国戦線の作家には,カタイ・ドン・サソリット Katay Don Sasorithの名があげられる。王制崩壊後の文学事情はまったくわからない。

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