化学辞典 第2版 「ラクチド」の解説
ラクチド
ラクチド
lactide
【Ⅰ】同一種類のヒドロキシカルボン酸2分子以上が,分子間でエステル化して環構造になった化合物の総称.ヒドロキシ酸に慣用名がある場合は,その英語名の末尾-ic acidを-ideにかえ,構成ヒドロキシカルボン酸の分子数を表す接頭語di-,tri-などをつけて命名する.【Ⅱ】ラクチド(lactide).3,6-dimethyl-1,4-dioxane-2,5-dione.C6H8O4(144.12).ジラクチドを単にラクチドという.乳酸を減圧蒸留すると得られ,D-,L-,DL-ラクチドの3種類の異性体がある.D-(+)-ラクチドはD-乳酸から得られる.斜方晶.融点95 ℃,沸点150 ℃(3.3 kPa).吸湿性が大きい.+281.6°(ベンゼン).エタノール,エーテル,ベンゼンに難溶.L-(-)-ラクチドは,L-乳酸より得られる.斜方晶.融点および沸点はD-(+)-ラクチドと同じ.-281.6°(ベンゼン).DL-ラクチドは,DL-乳酸より得られる.淡黄色の針状晶.融点124.5 ℃,沸点142 ℃(1.1 kPa).エタノール,エーテルに難溶.冷水で容易に加水分解される.[CAS 4511-42-6:L-ラクチド]【Ⅲ】トリサリチリド:C21H12O6(360.3).サリチル酸から容易に得られる.針状晶.融点201~203 ℃.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報