サリチル酸(読み)さりちるさん(英語表記)salicylic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サリチル酸」の意味・わかりやすい解説

サリチル酸
さりちるさん
salicylic acid

化学式はC6H4(OH)COOHで、o(オルト)-ヒドロキシ安息香酸の別名。


 加熱・加圧下でナトリウムフェノキシドと二酸化炭素を反応させて製造する。この反応をコルベ‐シュミットKolbe-Schmitt反応という。分子量138.1、融点159℃。無色の固体で昇華性をもつ。カルボン酸の一種で酸性(解離定数K1=1.55×10-3)を示し、フェノールヒドロキシ基をもつので塩化鉄(Ⅲ)溶液により紫色を呈する。医薬品のほか香料や染料の合成原料として用いる。

[廣田 穰]

薬用

殺菌剤、角質軟化剤として用いる。解熱鎮痛消炎作用をもつが、内服や注射にはサリチル酸ナトリウムが用いられ、サリチル酸そのものは消化器障害が著しいため内服には用いられず、外用のみである。うおのめ、いぼとりに用いられるサリチル酸絆創膏(ばんそうこう)には50%含有され、白癬(はくせん)(水虫)や乾癬など皮膚糸状菌症には2~10%の軟膏や塗布液が用いられる。また脱毛症や腋臭(えきしゅう)症(わきが)、汗疹(かんしん)(あせも)などの治療剤にも配合されている。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サリチル酸」の意味・わかりやすい解説

サリチル酸
サリチルさん
salicylic acid

C7H6O3天然にはエステルとして植物精油 (冬緑油や白樺皮油など) 中に存在し,フェノールと炭酸ガスから工業的につくられる。無色針状結晶。融点 159℃。水に溶けて酸性を示す。サリチル酸の誘導体にはアセチルサリチル酸 (アスピリン) や,サリチル酸メチルのように解熱剤鎮痛剤になるものがある。また,魚の目などに用いるスピール膏に添加されている。

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