ラーモア歳差運動(読み)ラーモアサイサウンドウ

化学辞典 第2版 「ラーモア歳差運動」の解説

ラーモア歳差運動
ラーモアサイサウンドウ
Larmor precession

回転していないこま重力の作用でただちに倒れるが,回転しているこまはその全角運動量と重力の2方向に垂直な方向に偶力がはたらき,着地点を通る重力方向軸のまわりに緩やかな回転運動をする.これをラーモア歳差運動という.いま,一定の磁場Hが加えられた空間に置かれた原子を考えると,それは全角運動量Jℏと磁気モーメント

μ = gJJμB

をもっている.ただし,gJ はランデ因子(g因子),μBボーア磁子である.したがって,原子の磁気モーメントと磁場の相互作用エネルギーμH最少の-μHとなる原子の方向が一番安定であるが,原子は非常に早い回転をしているため,その回転軸を表しているベクトルJℏが磁場Hの方向のまわりにラーモア歳差運動を行い,その振動数は

ν = gJμBH/ℏ

である.このことは,強い磁場内にある原子のスペクトルゼーマン効果や原子線磁気共鳴によって確かめられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む