日本大百科全書(ニッポニカ) 「リキア」の意味・わかりやすい解説
リキア
りきあ
Lycia
古代、小アジアの南西部、カリア、ピシデア、パンヒリアに取り囲まれていた地域。クサントス、ピナラ、トロス、パタラ、ミラ、オリンポスがおもな都市で、リキア連合として紀元前6世紀~前2世紀を中心にその地位を確保した。
ボアズキョイ文書、アマルナ文書によると、リキアはルッカとして登場してくる。ヘロドトスの『歴史』によると、リキア人は王位継承で敗れたサルペドンに率いられ、クレタ島からリキアに移住してきたといわれる。またホメロスの『イリアス』では、リキアはトロヤの同盟軍の一つとして取り扱われている。これらの文献史料から、リキア人は前15、前14世紀ごろに小アジアの南西部に居住していたことは明確である。多くの碑文が残されているが、前5世紀以降のものであり、言語学的にはインド・ヨーロッパ語族に属している。リキアの発掘調査は、1950年以来フランス調査隊がクサントスで行っている。
[大村幸弘]