改訂新版 世界大百科事典 「リゴール」の意味・わかりやすい解説
リゴール
Ligor
欧米人の著書に用いられるタイ語地名ナコーンNakhonの訛音。マレー半島中央部東海岸にあり,タイ語の正式名ナコーンシータマラートNakhon Si Thammarat(ナガラスリダルマラジャNagara Sridharmarajaとも呼ばれた)は,1292年の〈ラーマカムヘン王碑文〉に初出する。スマトラ島のスリウィジャヤ王国の属領のタンブラリンガ(中国史料の〈単馬令〉)はこの付近に比定されている。13世紀,スコータイにタイ族の国家が成立するとその朝貢国となり,14世紀中葉に同じくアユタヤが勃興するとこれに服属,首都アユタヤに金銀樹の定期的献送を行った。この習慣はラタナコーシン朝に入っても続き,ようやく1900年になって廃止された。リゴールは日本の史料では〈六昆〉と記されており,17世紀末には〈六昆〉からの貿易船がしばしば長崎に来航したことが知られている。1630年アユタヤ王の家臣山田長政は,リゴール国王に任じられ,アユタヤ在住の日本人とともに赴任したが,のち謀略によって殺害されたという。
執筆者:石井 米雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報