改訂新版 世界大百科事典 「ナコーンシータマラート」の意味・わかりやすい解説
ナコーンシータマラート
Nakhon Si Thammarat
タイ南部にある同名県の県都。都市域人口28万7761(2002)。マレー半島東岸,タイ(シャム)湾に面し,海岸線に並行する浜堤の上に位置する。周辺の平地では稲作が行われ,果樹栽培も盛んである。丘陵地にはゴム園が広がっている。銀象嵌細工(ニエロ)はこの地域に古くから発達した伝統工芸である。伝統芸能としては影絵芝居(ナン)が有名で,水牛の皮で作られる影絵人形の生産が盛んである。ナコーンシータマラートは古くスリウィジャヤ王国時代から重要な位置を占め,外国にはリゴールLigor(六昆)として知られていた。すでに13世紀末にスコータイ朝はこの地域に政治的支配を及ぼしていた。アユタヤ朝期(1350-1767)に入ってからは,マレー半島経営の重要な拠点となった。山田長政は1630年アユタヤ宮廷によってこの地の国主に任じられ,後に毒殺されたといわれている。
執筆者:田辺 繁治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報