日本大百科全書(ニッポニカ) 「リラクタンスモーター」の意味・わかりやすい解説
リラクタンスモーター
りらくたんすもーたー
reluctance motor
回転子の突極性のみを利用して回転する同期機。発電機も含めるとリラクタンス機とよばれる。突極性とは磁気抵抗(リラクタンス)が回転子の円周上の位置によって不均一なことである。リラクタンスモーターは電機子反作用を利用しているので、かつては反作用電動機とよばれた。回転子は鉄心だけあればよいが、磁気抵抗の高い部分と低い部分とをもつ必要がある。回転子鉄心を円筒形状ではなく、凹部は磁気抵抗が大きく、凸部は磁気抵抗が小さいという形状にすればよい。磁気抵抗の相違をつくるとき、回転子の形状は円筒形とし、鉄心内部にスリットや中空部を設けるようにしてもよい。リラクタンスモーターのうち三相同期電動機の界磁巻線がない同期電動機をシンクロナスリラクタンスモーター(SynRM:synchronous reluctance motor)という。固定子側を直流機の界磁巻線のように突極にして1方向だけの電流を極に次々に流して切り替えてゆく電動機をスイッチトリラクタンスモーター(SRM:switched reluctance motor)という。SRMはコンピュータとパワーエレクトロニクスの進歩によって実用化された。永久磁石が不要なことからSynRMはサーボモーターとして使われる。SRMは洗濯機、掃除機などの家電製品にも使われている。
[森本雅之]