改訂新版 世界大百科事典 「ロベール家」の意味・わかりやすい解説
ロベール家 (ロベールけ)
Robertiens
フランスのカペー朝に連なる家系。861年ロベールRobertはカール2世によってブルターニュ辺境伯に任ぜられて,ブルトン人(ブリトン人)やノルマン人(バイキング)らの侵入者に対する防衛に当たる。866年ブリサルトで戦死し,2人の息子ウードとロベール1世を残す。885-886年ノルマン人の攻撃からパリを防衛して名を挙げたウードEudes伯は,887年のカール3世の廃位後,有力諸侯に推されて国王になり,ここにカロリング体制は事実上終了する。898年ウードの死後,王権は再びカロリング家に戻るが,922年シャルル3世単純王に対する反乱を指導した辺境伯ロベール1世が国王に選出されるが,わずか1年の治世で死去し,彼の婿ブルゴーニュ公ラウールRaoul(在位923-936)が王位を継ぐ。936年のラウールの死後,有力諸侯の勢力均衡からカロリング家のルイ4世が国王に担ぎ上げられるが,ロベール1世の息子ユーグ・ル・グランHugues le Grandはこの状況を巧みに利用して,943年フランス公の地位を得て,息子ユーグ・カペーの国王選出の礎を固めた。
執筆者:下野 義朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報