日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンルート」の意味・わかりやすい解説
ロンルート
ろんるーと
Elias Lönnrot
(1802―1884)
フィンランドの口承文芸研究家。ロンルートのほかにリョンロット、リョンロートなどとも表記される。サンマッティの生まれ。大学時代に文学と医学を修め、青年時代からの夢であった口承文芸への情熱を示し、超人的な採集活動を展開。その範囲は南北カリャラ(カレリア)、ラップランド、エストニア、インゲルマンランドにも及んだ。採集した神話的民族叙事詩を体系化し、『古カレバラ』(1835~36)、さらに増補し『カレバラ』(1849)を編纂(へんさん)した。グリム兄弟の兄ヤーコプの激賞を受け、『カレバラ』は世界有数の叙事詩として親しまれている。ほかにも民族叙情詩『カンテレタル』(1840)、『フィンランド国民諺(ことわざ)・格言集』(1842)、『フィンランド国民謎々(なぞなぞ)集』(1844)、『フィンランド国民古代呪文(じゅもん)詩集』(1880)などを編み、ロシア治下にあったフィンランド人の民族意識高揚に尽くした。
[高橋静男]