改訂新版 世界大百科事典 「ローランドソン」の意味・わかりやすい解説
ローランドソン
Thomas Rowlandson
生没年:1756-1827
イギリスの素描家,水彩画家,風刺版画家。ロンドンの富裕な商家に生まれる。1772年ローヤル・アカデミーに入学,おもにデッサンを学び肖像・歴史画家を志すが,80年代よりユーモアに満ちた風俗画・風刺画に取り組む。美醜,貧富,生死などのコントラストを巧みに用い,エロティックな要素も多い。90年代後半より出版業者R.アッカーマンと提携し多量の水彩挿絵・版画を制作。ホガースの伝統に加え,フランス・ロココ美術の感化を受けた流麗な描線,繊細な色彩感覚をもつ。辛辣な風刺に徹したギルレーとは対照的だが,共に当時の時代精神を生き生きと表現した。代表作品に《ドクター・シンタックスの旅行》(1812-21)などがある。
執筆者:小池 寿子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報