ワーシル・ビン・アター(読み)わーしるびんあたー(その他表記)Wāil bn ‘Aa'

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワーシル・ビン・アター」の意味・わかりやすい解説

ワーシル・ビン・アター
わーしるびんあたー
il bn ‘Aa'
(699―748)

イスラムの神学者でムゥタジラ派の創始者。初めハサン・バスリーのグループにいたが、罪の問題に関して、ハサン・バスリーと意見を異にして、離脱したのがムゥタジラ(離脱者)派の起源であるといわれる。彼の主要な教義は、(1)永遠なる神的属性の否定、(2)人間の自由意志肯定、(3)大罪を犯したムスリムは、ムスリムと不信者の中間に位置するという考え、(4)初期イスラムの内乱アリーとタルハTalha(595ころ―656)・ズバイルZubayr(594ころ―656)のラクダの戦い、アリーとムアーウィヤのスィッフィーンの戦い)では、どちら側かは確定できないが、どちらかが誤っていたとする考え、の四つが伝わっている。

[竹下政孝 2018年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android