アツウシベツ(読み)あつうしべつ

日本歴史地名大系 「アツウシベツ」の解説

アツウシベツ
あつうしべつ

漢字表記地名「厚別」のもとになったアイヌ語に由来する地名。コタン名のほか河川名としても記録されている。天保郷帳には「子モロ持場」のうち「アツウシベツ」とみえ、当地一帯は近代に入り厚別あつうしべつ村に包含された。仮名表記は「アツウシベツ」(「協和私役」「観国録」、玉虫「入北記」、「蝦夷日誌」一編、板本「東蝦夷日誌」など)のほか、「アツウシヘツ」(東行漫筆・蝦夷人物誌・廻浦日記)がある。漢字表記は「厚吾子川」(行程記)がみられる。語義について「地名考并里程記」は「アツウシベツはアチウシベツなり。則、突合ふ川と訳す。昔時、奥地の蝦夷共蜂起して弓鎗を携へ戦をなせしゆへ地名になす由。亦、説にあつし草ある川と訳すといふ事あれと未詳」とし、板本「東蝦夷日誌」には「名義、楡皮多川との義」とある。

当地は「東行漫筆」に「昼休所 トウの縁ニあり アツウシヘツ」と記されるようにフウレン湖畔に位置し、昼休所は「茅立ニて囲ひもおなじ。至而麁末成仮建」であったため、「奉行衆の昼所ニは余り如何ニ付、早々取建候様可致旨」を申付けたとある(文化六年四月三〇日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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