アフガニスタン総選挙(読み)あふがにすたんそうせんきょ

知恵蔵 「アフガニスタン総選挙」の解説

アフガニスタン総選挙

新生アフガニスタンの政治枠組みを形作る仕上げとして2005年9月、実施された総選挙。旧ソ連の侵攻内戦による混乱が長らく続き、総選挙は王制時代の1969年以来36年ぶりの出来事だった。イスラム原理主義勢力のタリバーンが首都カブールから撤退した後、アフガン復興の工程表を決めた01年末の「ボン合意」に基づき、04年1月に新憲法が制定され、同年10月の大統領選挙でカルザイ大統領が選出された。下院(定数249)の総選挙には、全国34州で2700人以上の候補者が立候補。登録有権者は約1250万人で、投票率は50%余りとなった。軍閥幹部らの当選が目立ち、長い内戦の影が開票結果に表れたが、カルザイ大統領派が過半数を占めたとされる。また、下院の約3割は女性議員に割り当てられ、抑圧されてきたアフガン女性にとっては画期的な出来事となった。05年12月に召集された下院は、議長に旧北部同盟の実力者だったカヌニ前教育相が選ばれた。だが、タリバーンの残党とみられる武装勢力などが選挙の破壊活動をし、候補者や選管職員が殺される事件も相次ぎ、新生アフガニスタンの先行きが懸念されている。

(竹内幸史 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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