内戦(読み)ないせん

大辞林 第三版の解説

ないせん【内戦】

一国内における、同じ国の人どうしの戦争。内乱と同義に用いる場合もある。 ⇔ 外戦

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

内戦
ないせん
civil war

内乱ともいう。国家と国家との間でなされる対外戦争(外戦)とは異なり、一国の枠内で対立する勢力が国家権力の掌握を目ざして行う社会的規模での武力衝突である。複数民族国家内で、一民族が支配的民族に対して独立・解放のために行う戦争も、内戦とよばれることがある。
 内戦の事例としては、固有名詞的にthe Civil Warとよばれる、イギリスのチャールズ1世と議会の戦い(1642~49)、アメリカの南北戦争(1861~65)をはじめとして、フランスのパリ・コミューン(1871)、革命後ロシアの国内戦(1918~21)、1921~49年の間三次にわたって行われた中国の国共内戦、人民戦線政府とフランコを指導者とする反乱軍との間に行われたスペイン内戦(1936~39)などがあげられる。
 第二次世界大戦以降は、第三世界で多く発生しているが、その多くは、東西対立を背景とし、民族解放運動の要素を含んだものであった。1991年にソ連が崩壊して、東西対立による冷戦が終結したあとも、旧ユーゴスラビアやアフリカのルワンダ、コートジボワール、ソマリア、スーダンなどで内戦が勃発、継続中のものもある。また、アフガニスタン、スリランカ、コンゴなどでは反政府勢力が活発となり、テロや戦闘が行われている。
 国際法からすると、内戦は国内問題であり、外国政府は当事者双方への非干渉を原則として求められるが、現実には軍事援助、さらには武力干渉という形で外国が介入する例は多い。ロシアの国内戦も外国からの軍事干渉と不可分な状態で行われたし、スペイン内戦もドイツ、イタリアの支援がなければフランコ軍の勝利は不可能であったといわれる。
 反政府勢力が政府機構を備え、実質的な政府機能をもつ場合、国際的に交戦団体として承認され、国際法上の資格を与えられることがある。内戦はしばしば大量の流血を伴うが、1949年のジュネーブ条約により、一般住民や戦傷病者への人道的配慮が義務づけられている。
 日本国刑法は「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱すること」を目的とした暴動を内乱と規定し、その首謀者には死刑または無期禁錮の重刑を科している。[山崎 馨]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ない‐せん【内戦】

〘名〙 国内の戦争。同じ国民同士の戦い。⇔外戦
※中国知識人の自己改造(1951)〈竹内好〉一「内戦のために食糧の全体的配分がうまくいかなかった」

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世界大百科事典内の内戦の言及

【戦争】より

…たとえば原初的な形態(種族,部族,遊牧民,封建領主間)の戦争と主権的国民国家間の近代的な全体戦争の間には共通するものはさしてないであろう。近代主権国家の成立以降の戦争に限定して検討した場合,同じ主権国家に属する2ないし数個の集団が,全面的にせよ,部分的にせよ,この国家を掌握しようとして争うとき,これを対内戦争(内戦ないし革命)と呼び,2国家ないし国家集団がそれら1国ないし数ヵ国の一部ないし全体を,あるいはまた対外的な利益を得ようとして争うとき,これを対外戦争(国際戦争)と呼ぶ。この区別は理論上のものであり,実際には両者はしばしば密接な関係にある。…

【内乱】より

…非合法的手段によって政権を奪取しようとする試みの一形態。内戦ともいう。複合民族国家で一民族が自治を要求して武力に訴える場合(分離主義の運動)や,特定の政治的信条の下に集結し,現に政権を握っている勢力に反抗する場合などさまざまな発現形態がある。…

※「内戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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