イトカメムシ

改訂新版 世界大百科事典 「イトカメムシ」の意味・わかりやすい解説

イトカメムシ (糸亀虫)

半翅目イトカメムシ科Berytidaeに属する昆虫総称,またはそのうちの1種を指す。この科はカメムシ類の中でもとくに触角あしが糸状で細長く,体も細長い種類が多いのでこの名がある。日本には4種が分布する。いずれも植食性である。イトカメムシYemma exilis体長6mm。体はきわめて細長く,表面は淡褐色であるが,生時腹面は緑色を帯びる。頭部は小さく,触角は体長より長く,第4節は短く黒色で棍棒状。あしも細く糸状で淡黄色であるが腿節には細かな褐色の斑点がある。前胸背には網目状の小点刻があり,膨れる。小楯板には長い小突起がある。北海道を除く各地にふつうで,中国にも分布し,ダイズ,クズ,ゴマ,キリなどの葉裏に生活する。作物についても吸収による被害は軽微で害虫扱いされることはあまりないが,海外ではカカオの害虫として知られる種類もある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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