インシュリン・ショック療法(読み)インシュリンショックりょうほう

百科事典マイペディア の解説

インシュリン・ショック療法【インシュリンショックりょうほう】

統合失調症精神分裂病)の治療法。空腹時にインシュリン高単位皮下注射し,低血糖による昏睡(こんすい)を起こさせ,30〜60分後ブドウ糖静脈注射で覚醒(かくせい)させ,十分な食事を与える。これを20〜40回繰り返し1クールとし治療上の単位とする。偶発事故の危険もあり,薬物療法が導入されてからはほとんど用いられない。

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世界大百科事典(旧版)内のインシュリン・ショック療法の言及

【インシュリン】より

…また血糖値を常時モニタリングし,必要に応じてインシュリンを注入する装置や人工膵臓の開発,研究も盛んに行われている。 インシュリンは,糖尿病以外に精神分裂病に対し,低血糖性昏睡や痙攣(けいれん)発作を起こさせて治療するインシュリン・ショック療法にも用いられるが,その後に現れた電気ショック療法,薬物療法にとって代わられつつある。また妊娠悪阻や栄養障害時の食欲増進に用いることもある。…

【ショック療法】より

…19世紀には灌水療法といって鉄製の籠の中に患者を入れて頭から冷水をかけることも行われた。1933年にザーケルM.J.Sakelによってインシュリン・ショック療法が創始された。インシュリンを皮下または筋肉内に注射し,低血糖昏睡を生じさせることを反復すると,精神分裂病の症状が改善されることが明らかにされ,精神病の身体的治療法として画期的なものとされた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」