ウドムルト族(読み)ウドムルトぞく(その他表記)Udmurt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウドムルト族」の意味・わかりやすい解説

ウドムルト族
ウドムルトぞく
Udmurt

ロシア東部,ウドムルト共和国を構成する民族旧称は「ボチャーク」で,文献には長くこの名称が用いられた。人口は共和国内に約 69万 (1979) ,旧ソ連全体で約 71万。言語はウラル語族フィンウゴル語派のペルム語群に属する。南と北で方言差があり,造形芸術など文化的な特徴にも顕著な差異がみられる。伝統的生業は農業。現在の居住地に定住したのは3~9世紀と推定される。 10~12世紀にはボルガ・ブルガールの,13~16世紀にはキプチャク・ハン国とカザン・ハン国の支配下におかれ,16世紀中頃にロシア領となった。このような歴史を反映し,言語や造形のほか音楽など文化的にも,フィン=ウゴル,チュルク,スラブ的な特徴が認められる。

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世界大百科事典(旧版)内のウドムルト族の言及

【ウラル語系諸族】より

…原ウゴル文化は前1千年紀中葉に原オビ・ウゴルと原マジャールに二分,前者が鉄器時代のウスチ・ポルイ文化を経て現存のハンティ族と,マンシ族に連なるのに対し,後者はその後遊牧化し,南ロシアを経由してパンノニアへ移住したマジャール人となる。原フィン文化は前2千年紀中葉に分裂,一方のペルミ・フィンは鉄器時代に栄えたアナニノ文化を経たのちさらに分かれて現存のコミ(ジリャン)族,ウドムルト(ボチャーク)族となり,もう一方の原ボルガ・フィンも前1世紀初頭には,のちのモルドバ(モルドビン)族,マリ(チェレミス)族の先祖に当たるボルガ・フィンと,バルト海東岸方面へ移住した原バルト・フィンとに分化する。後1世紀末以降原バルト・フィンはさらに拡散を重ね,バルト海東岸のエスティ(エストニア),ボート,リーブ(リボニア),北ロシアのベプス,インケリ(イングリア),カレル(カレリア),スカンジナビアのスオミの諸族となる。…

※「ウドムルト族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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