化学辞典 第2版 「カローザス」の解説
カローザス
カローザス
Carothers, Wallace Hume
アメリカの高分子化学者.父の教える商業学校で学んだ後,1920年ターキオ大学を卒業,イリノイ大学大学院で化学を専攻し,1924年学位を取得.ハーバード大学講師を務め,1928年デュポン(DuPont)社の基礎研究プログラムの有機化学班長として迎えられた.着任後,ただちに高分子合成の基礎的研究を開始し,重合を付加重合と縮合重合の二つのタイプにはじめて分類(1929年),各タイプの合成的研究からそれぞれ画期的な発明を導いた.付加重合の研究からは合成ゴム・ネオプレン(1931年工業化)を,また縮合重合の研究からポリアミド系合成繊維ナイロン(ナイロン6,6)を発明した(1938年公表,1939年工業化).1936年に結婚したが,うつ病が高じ,翌年41歳で服毒自殺した.重合理論から分子設計を行いポリマーを合成するかれの研究は,その後の高分子化学工業の研究開発のモデルとされた.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報