カーボン印画法(読み)カーボンいんがほう(英語表記)carbon printing process; pigment process

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーボン印画法」の意味・わかりやすい解説

カーボン印画法
カーボンいんがほう
carbon printing process; pigment process

古い写真プリント法で,絵具印画法の1種。二クロム酸塩とゼラチンとの混合物の感光性を利用した印画法。 1864年イギリスの化学者 J.スワンが開発した。初めゼラチンに混入する絵具にカーボンを使ったので,この名称がある。カーボン印画の絵具画像は,普通の銀画像に比べて格段の耐久性をもつ。第2次世界大戦中,学校に飾られた天皇皇后肖像はカーボン印画であった。この印画法は,ゼラチンを湯に溶かし,絵具粉末を加えて糊状とし,紙に塗って乾燥したもの (カーボンティッシュ) を,二クロム酸カリウム液に浸して感光性を与えて再び乾燥する。これを陰画と重ねて強い光で焼付けたのち,約 35℃の温湯で洗うと,硬化したゼラチンが残り写真像が現れる。これを一度仮転写紙に転写したうえ,左右の逆向きを正すため,さらに転写して画像を完成する。現在,この技術はグラビア印刷製版に一部使われている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android