日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラビア印刷」の意味・わかりやすい解説
グラビア印刷
ぐらびあいんさつ
gravure printing
凹版印刷に属する印刷。版は規則正しく配列している細かい凹点からなり、これにインキを入れて印刷する方法。同一版面の凹点の大きさは同じであるが、深さが原稿の色の濃さにより異なり、深い凹点ほどインキが多く入るので印刷物は濃色となる。凹点の大きさは、ポスターやカタログでは0.1ミリメートル平方程度である。普通のグラビア(コンベンショナルグラビア)のほかに網グラビアがあり、凹点の大小の差によりその濃淡を表現する。製版方法には腐食法と電子彫刻法とがある。グラビアの特長は、色の階調が豊富でその再現性がよい、インキの乾燥が早く高速印刷ができる、プラスチックなど広い範囲の材料にも印刷が可能である、エンドレス模様の印刷ができる、などである。短所としては、製版費が高いので少部数の印刷には不向きである、印刷物の文字の縁に刻み目が生じる、などである。用途は出版物と包装用が主であるが、建材や織布の印刷にも利用される。
[平石文雄]