スワン(読み)すわん(英語表記)Sir Joseph Wilson Swan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スワン」の意味・わかりやすい解説

スワン
すわん
Sir Joseph Wilson Swan
(1828―1914)

イギリスの化学工業家、発明家。サンダーランドの生まれ。薬剤師の徒弟を経て、ニュー・カッスルで化学工場の経営に参加した。1863年炭素を用いた印刷法を発明し、1877年写真用臭化銀ゼラチン乾板を改良して市販した。さらにこれを応用して、1879年ブロマイド印画紙の特許を得た。また1878年、エジソンよりも1年前に炭素フィラメントによる白熱電球を発明、市販した。この過程でニトロセルロース溶液から糸を引き、脱硝して繊維を得るニトロセルロース人絹製造法の原理もみいだした。これはのちにシャルドンネらによって改良され、レーヨン工業へと発展した。1904年ナイトに叙せられた。

[川野辺渉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スワン」の意味・わかりやすい解説

スワン
Swan, Sir Joseph Wilson

[生]1828.10.31. ダーラム,サンダーランド
[没]1914.5.27. サリー,ウォリングハム
イギリスの技術者,発明家。薬剤師の店に奉公したのち,写真感光材 (当時は湿式) の製造会社に勤めた。 1871年までに臭化銀乳剤を乾燥させることによって感度が向上することを発見,79年に乾板および臭化銀印画紙 (ブロマイド) の特許を取った。これによって写真は飛躍的に普及することになった。また 60年にはカーボン・フィラメントを用いた電球をつくり,エジソンの先駆となった。ほかに人工繊維の製法を開発し,繊維産業の発展にも貢献することになった。 1904年ナイトの称号を与えられた。

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