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カーン博士問題 かーんはかせもんだい

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知恵蔵2015の解説

カーン博士問題

パキスタンの「核開発の父」とされたアブドゥル・カディール・カーン博士が起こした核技術の流出・拡散問題。博士は1936年、インド中部のボパールに生まれ、印パの分離独立後の52年、パキスタンに移住。科学者となり、欧州で得た技術情報をもとに、パキスタンで遠心分離器を使って核兵器の材料となる高濃縮ウランを製造し、98年の同国の核実験成功の基礎を築いた。ところが、博士がリビアイラン北朝鮮に核技術を流していたことが2004年に発覚した。リビアへの核関連部品輸出には、スリランカの貿易商やマレーシアの工場、スイス企業などがからんだ「カーン・ネットワーク」が浮上。この「核の闇市場」には20カ国以上の企業が関わっているともいわれた。また、博士らによる核関連物資の流出には、パキスタン政府や軍が関与したとの疑惑も消えなかった。「70年代後半のジアウル・ハク大統領時代に他のイスラム諸国に核技術を渡そうと交渉していた」などの有力証言もあり、外貨集めに核技術の輸出を政府ぐるみで進めようとしていた疑惑は消えない。しかし、調査を進めたパキスタン政府は「博士個人が関与したに過ぎない」という構えを崩していない。英雄だった博士は今も自宅軟禁の日々が続いている。

(竹内幸史 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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