博士(読み)ハカセ

デジタル大辞泉 「博士」の意味・読み・例文・類語

はか‐せ【博士】

学問やその道の知識にくわしい人。「お天気博士」「物知り博士
学位の「博士はくし」の俗称。「博士号」「文学博士
律令制の官名。大学寮明経みょうぎょう紀伝(のちに文章もんじょう)・明法みょうぼう陰陽おんよう陰陽天文漏刻典薬寮呪禁じゅごんなどの各博士が置かれ、それぞれ専門の学業を教授した。
(「墨譜」とも書く)声明しょうみょうの経文の傍らに記して、音の高低・長短を示す記号。上がり下がりなど音の動きを線で視覚的に表した目安めやす博士と、音階(宮・商・角・・羽)を文字または記号で表した五音ごいん博士とに大別される。節博士ふしはかせ
[類語](2博士ドクター

はく‐し【博士】

学位の一。大学院博士課程を修了し、博士論文の審査および試験に合格した者に授与されるもの(課程博士)と、博士論文の審査に合格して博士課程修了と同等以上の学力があると認められた者に授与されるもの(論文博士)がある。ドクター。
はかせ(博士)
[類語]博士ドクター

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精選版 日本国語大辞典 「博士」の意味・読み・例文・類語

はか‐せ【博士】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 学問や芸道などで、その道に精通した人。深い知識や高い識見などをもっている人。人を教えるだけの力をもっている人。はくし
    1. [初出の実例]「天万豊日(あめよろつとよひ)の天皇は〈略〉儒(ハカセ)を好みたまふ」(出典:日本書紀(720)孝徳即位前(北野本訓))
    2. [その他の文献]〔戦国策‐趙策〕
  3. 官職・地位の称号。→はくし
    1. (イ) 上代、百済から送られた学問技術の専門家の称号。五経博士(ごきょうはかせ)・医博士(くすしのはかせ)・易博士(やくのはかせ)・暦博士(こよみのはかせ)・露盤博士(ろばんのはかせ)・瓦博士(かわらのはかせ)など。
    2. (ロ) 指導的な識者に与えられた称号。→くに(国)の博士
      1. [初出の実例]「諸の才人(かとあるひと)・博(ハカセ)・陰陽師(をんみゃうし)・医師者、并て二十余人を召して」(出典:日本書紀(720)朱鳥元年正月(北野本南北朝訓))
    3. (ハ) 令制で、特定の学術・技芸に専門的に従事し、かつその分野の教育を担当する職の総称。または、その人。大学寮に、明経・紀伝(文章)・明法・算・音・書の各博士、陰陽寮に、陰陽・暦・天文・漏刻の各博士、典薬寮に、医・女医・針・按摩・咒禁(じゅごん)の各博士があり、さらに大宰府および諸国にも、それぞれ大宰博士・大宰府明法博士および国博士(くにのはかせ)が置かれていた。
      1. [初出の実例]「博士一人。〈掌授経業。課試学生〉」(出典:令義解(718)職員)
    4. (ニ) 江戸時代、藩儒の称として用いた。
      1. [初出の実例]「腰痩初纏博士印、名逃空勒党人碑」(出典:寛斎先生遺稿(1821)一)
    5. (ホ) 明治二年(一八六九)七月八日、大学校に設けられた官名。生徒を教授したり、国史を編纂したり、洋書の翻訳にあたったり、病院や医薬関係のことなどをつかさどった。また、その官にある人。大・中・少の三階級に分かれた。のち、官制の改革により、大学、文部省に属したが、同五年九月三日廃止。
    6. (ヘ) 明治三年(一八七〇)四月五日、宣教使のうち、大・中・少宣教使を改称した呼び名。同五年の官制改革によって、宣教使の名称とともに廃止された。
  4. はかせ(博士)の命婦」の略。
    1. [初出の実例]「くすりの女官にて、文屋のはかせさかしだちさいらきゐたり」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘七年正月一日)
  5. ( 「ふしはかせ(節博士)」の略 ) 平曲、謡曲などの「うたいもの」、あるいは声明(しょうみょう)などの節のきまり。また、それを示すために文句のそばに書きしるす点や線の譜。墨譜。胡麻点。
    1. [初出の実例]「卿といひし哥女にあひて博士つけ拍子さしたりとて、ときどきうたひ侍き」(出典:文机談(1283頃)三)
  6. 手本。模範。標準。規準。
    1. [初出の実例]「太子の御時の図、今に侍るをはかせとす。いはゆる六時堂の前の鐘なり」(出典:徒然草(1331頃)二二〇)
  7. 学位としての博士(はくし)のこと。
    1. [初出の実例]「糊口の道には懸念のなき、博士(ハカセ)学士になさまほし」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉四)

博士の補助注記

「書紀‐応神一五年八月」には「於是天皇阿直岐に問て曰、如(も)し汝に勝れる博士亦有りや」とあり、北野本訓では「フミヨミヒト」とよまれている。


はく‐し【博士】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 古くは「ばくじ」とも ) =はかせ(博士)色葉字類抄(1177‐81)〕
  3. 学位の一つ。日本では明治二〇年(一八八七)の学位令によって、文部大臣が授与する博士・大博士を設けたのに始まる。現行制度は昭和二八年(一九五三)の文部省令「学位規則」によるもので、大学院を卒業し博士論文の審査と試験に合格したもの(課程博士)と、学歴のいかんを問わず論文試験に合格し、大学院卒と同等以上の学識があると認められたもの(論文博士)との二つがある。ドクター。ドクトル。〔哲学字彙(1881)〕
    1. [初出の実例]「学位令にある博士と言ふ文字の発音方は、従来唱へ来りたる如くハカセと読む事と思ひの外、ハクシと発音する事になり居る由」(出典:金城だより‐明治二一年(1888)六月二一日)

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改訂新版 世界大百科事典 「博士」の意味・わかりやすい解説

博士 (はかせ)

日本の声楽の伝統的な楽譜の一種。旋律の動きを視覚的にわかりやすく示そうとしたもので,詞章の右または左に書かれる。この呼称は主として声明(しようみよう)で用いられるほか,雅楽の歌物の楽譜も博士と称することが多い。譜士と書くこともあり,節博士(ふしはかせ),墨譜(ぼくふ),節譜(せつぷ)などともいう。なお,謡(うたい)や浄瑠璃の楽譜に対しては胡麻(ごま),胡麻点などの語を用い,博士とはいわない。声明の博士は,時代により宗派・流派により,また声明家個人によってさまざまの種類のものが考案されてきたが,原理的には,理論上の音階音すなわち五音ごいん)を示そうとするものと,旋律の動きを示そうとするものの2種に大別することができ,前者を五音博士,後者を目安博士(めやすはかせ)などと呼ぶ。現在五音博士を使用しているのは真言声明の各流派であるが,鎌倉期末ないし南北朝ごろに記譜されたと伝える博士を,ほとんどそのままの形で継承しているため,実際の演唱との間にある程度の対応関係は認められるものの,伝承の詳細はほとんど表示し得ていないのが実態である。そこで,仮博士または仮譜と称する実用的な博士をくふうして併用することが各派ごとに行われているが,それらは,いずれも目安博士である。真言声明以外は,現在目安博士のみを用いている。その表示法は,具体的に実際の演唱を示すべく,旋律進行に即して精密に記してあるものから,形状を抽象化あるいは単純化して示したものまでさまざまである。

 現行の目安譜を代表するのは天台声明のそれであるが,博士そのものでは音高が表示されないことから,真言声明の場合とは逆に,五音の名称を譜に書き添えている。そのほか,旋律型の名称やユリの数,発音上の注意などの記入は,天台,真言,あるいは五音博士,目安博士を通じて数多く見られるところである。なお,歴史的には,平安時代末ごろの資料に詞章の四声点(四声)から発する単純な博士が存在し,それを古博士と呼んで区別することがあるが,原理的には,これも目安博士である。現在の声明は,特別の例外を除くほとんどすべてが,博士によって記譜されており,かつ記譜の内容は,漸次,詳細になっていく傾向が強い。そして多くの流派では実際の法会でも,それらの声明本を用いている。
執筆者:


博士 (はかせ)

日本古代の教官,官職名。大化改新以前,《日本書紀》は百済より博士王仁五経博士段楊爾・漢高安茂,医博士,易博士,暦博士,鑪盤(ろばん)博士,瓦博士の来朝を伝えている。改新のとき,官職として国博士がおかれ,持統朝に音博士,書博士,医博士,咒禁博士,陰陽博士,大学博士がみえる。大宝令では陰陽寮に陰陽博士,暦博士,天文博士,漏刻(ろうこく)博士,大学寮に博士,音博士,書博士,算博士,典薬寮に医博士,針博士,咒禁博士,按摩(あんま)博士がおかれた。これらの博士は称号ではなく官職で,それぞれ学生を教育するのが職務である。諸博士の知識,技術はいずれも中国のものであった。その後,博士は文章(もんじよう)博士,紀伝博士(のち停止し,文章博士を加置),明経(みようぎよう)博士に分かれ,さらに律学博士(のち明法(みようぼう)博士)がおかれた。平安中期以降,明経博士は清原,中原家,文章博士は菅原,大江,日野家,明法博士は坂上,中原家,算博士は三善,小槻家が主として任ぜられ,家業となった。なお,近代の学位の博士(はくし)については〈学位〉の項目を参照されたい。
紀伝道 →算道 →明経道 →明法道
執筆者:


博士 (はくし)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「博士」の意味・わかりやすい解説

博士(令制の官職)
はかせ

(1)古代、学生に教授課試する教官で、令(りょう)制の官職。大学寮には学科ごとに明経(みょうぎょう)博士(経書を講ずる)、算博士(算術)、音博士(漢音)、書博士(書道)がいたが、天平(てんぴょう)(729~749)初年に明法(みょうぼう)(法学)、文章(もんじょう)(漢詩文)の2博士が加えられた。平安時代初期に紀伝道の盛行により紀伝博士(中国史)が置かれたが、のちに文章博士に統一された。陰陽(おんみょう)寮には陰陽博士(占筮(せんぜい))のほか暦(れき)(暦法)、天文(天文、気象)、漏剋(ろうこく)(時刻測定)の各博士があり、典薬(てんやく)寮には医(医学、薬学、人体の学識)、針(針灸(はりきゅう))、案摩(あんま)(按摩(あんま)術)、咒禁(じゅごん)(呪文(じゅもん)により病災を防ぐ方術)の各博士がある。ほかに、大宰府(だざいふ)には管内諸国の国学生を教授する博士が、諸国の国学には学生を教授する国博士(くにのはかせ)がいた。

[前川明久]

(2)近・現代における最高位の学位である博士(はくし)を博士(はかせ)ということがある。

[編集部]


博士(学位)
はくし

最高位の学位の一種。中世ボローニャ大学で授与された教授資格のドクターDoctorが嚆矢(こうし)となっている。今日、欧米諸国では、学術理論研究および専門職業・実践教育の最高の学位および資格である。アメリカでは学術理論中心の研究に哲学博士Ph.D.(Doctor of Philosophy)が、専門実践研究にはそれぞれの専門分野の第一専門学位または各種専門職業分野の博士が授与されている。

 日本では博士(はかせ)ということばが、大宝律令(たいほうりつりょう)(701)によって大学寮の教官の官職名に用いられたが、学位・称号の性格をもたなかった。1873年(明治6)の「学制」の改定で、博士(はくし)が学士および得業士とともに学位とされ、1920年(大正9)の学位令により、博士は唯一の旧制の学位となった。現行の学位制度では、大学改革支援・学位授与機構が定めるところにより、大学院博士課程の5年以上の課程修了者または修業年限5年の博士課程の後期3年以上の課程修了者で、当該大学院の行う博士論文の審査および試験に合格した者、または博士課程を修了した者と同等以上の学力を有する者で論文審査に合格した者に博士号が授与される。なお現代も、博士(はかせ)と呼称することがある。

[金子忠史]

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大学事典 「博士」の解説

博士
はくし

博士号または博士号取得者(日本)を指す。博士号(日本)は,日本の大学で授与される学位の最高位に位置する。1887年(明治20)の学位令で大博士と博士が設けられ(実際には大博士の授与はない),博士には推薦博士(総長推薦),課程博士(大学院卒業),論文博士ともいうべき3種の取得ルートが想定され,法学・医学・工学・文学・理学の5種類の博士が定められた。翌88年に最初の博士25人(同年度で計50人)が生まれ,98年の学位令改正で農学,林学,獣医学,薬学の4種類の博士が追加された。さらに1919年(大正8)の大学令施行,翌20年の学位令改正で,帝国大学だけでなく官公立大学や私立大学でも授与が始まり,博士は増加するが,「末は博士か大臣か」といわれるように希少な存在であった。とくに第2次世界大戦前では論文博士が主流で,大部分が医学博士であったため,名誉的,職業的なものであった。戦後になり,アメリカのPh.D. (Doctor of Philosophy)のような研究者の最低資格としての博士号に変える努力がなされたが,理工系ではそれが進んだものの,人文・社会科学系では修士が代替した。人文・社会科学系で博士が普及するのは,1991年(平成3)の学位規則改正後である。他方で,たとえば「法務博士」などの明確な専門職学位(日本)としての博士は,専門職大学院制度の開始とともに始まった。
著者: 阿曽沼明裕

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百科事典マイペディア 「博士」の意味・わかりやすい解説

博士【はかせ】

律令制の官職の一つ。大化改新で国務顧問として国博士2名を任じたのが最初。律令制では中央の大学に古典を教える博士(大学博士)・助博士(助教)および音・書・算の各博士,諸官庁に陰陽(おんみょう)・暦(れき)・天文・漏刻(ろうこく)・医・針・按摩(あんま)・呪禁(じゅごん)の各博士,地方では大宰府に博士(大宰博士),諸国に国博士が任じられ,それぞれ学生(がくしょう)に教授した。平安中期以後,大学はすたれ,博士を出す家(博士家)は固定し,家学を伝えるのみとなった。→博士(はくし)
→関連項目をこと点藤原惺窩

博士【はくし】

博士の学位は,かつては学問上一定の完成をみた者に授与されたが,現在では,研究者として自立する能力を有する水準の者に授与されることになっている。大学院博士課程を修了し,一定期間内に博士論文の審査に合格した場合(〈課程博士〉)のほかに博士論文の審査に合格し博士課程修了者と同等以上の学力を認められた場合(〈論文博士〉)がある。その授与状況は,従来,理,工,農,保健の分野では授与される者が多く,人文,社会,教育の分野では授与される者は極めて少なかった。なお,1989年度から導入された,大学院への飛び級制度(大学3年在籍で入学資格が可能)により最短24歳で博士号が取得できることになった。
→関連項目博士

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「博士」の意味・わかりやすい解説

博士
はかせ

(1) 律令制における官名。その道に通じている専門家を任じた。大学寮に明経 (みょうぎょう) ,文章 (もんじょう) ,明法,音,算など,陰陽寮に陰陽,暦,天文,漏刻など,典薬寮に医,針,呪禁 (じゅごん) などの博士があった。 (2) 博士 (はくし) の俗称。旧制では学位令によって文部大臣から与えられた学位。新制では大学院に5年以上在学し,所定の単位を修得,大学院の行う論文審査と試験に合格したものに授与される。法学,文学,教育学,社会学,神学,政治学,経済学,商学,経営学,理学,工学,農学,水産学,医学,歯学,薬剤学,獣医学の種類がある。

博士
はかせ

日本音楽の記譜の名称。「墨譜」とも書く。おもに仏教声楽の声明 (しょうみょう) の記譜として,本文の漢字につけられた記号をいい,本来は訓点と密接な関係があったと思われる。原則として漢字1字分の音節の音型および唱法を,直線または曲線およびその組合せで視覚化させて表現したもので,ヨーロッパのネウマ譜の古いものや,動機譜に近い性格をもつ。その後,平曲,謡曲,浄瑠璃などの語り物に用いられる記譜となり,これを節 (ふし) 博士ともいった。その形が胡麻 (ごま) に似ているものを胡麻点 (あるいはゴマ符,ゴマ章,ゴマ譜) と呼ぶ。

博士
はくし

博士」のページをご覧ください。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「博士」の解説

博士
はかせ

古代に学問・技術およびそれを後進に指導することによって朝廷に奉仕した官職。令制では陰陽(おんみょう)寮に陰陽博士・暦博士・天文博士・漏刻(ろうこく)博士,大学寮に博士(明経(みょうぎょう)博士)・音博士・書博士・算博士,典薬寮に医博士・針博士・按摩(あんま)博士・呪禁(じゅごん)博士,大宰府学に博士,国ごとの国学に国博士がおかれた。その後,令外官として大学寮に文章(もんじょう)博士・紀伝博士・明法(みょうぼう)博士,典薬寮に女医博士,大宰府学の音博士・明法博士が加わった。また任官試験を行う際に一時的に任命される試験官として,問頭(もんとう)博士・試博士・証博士があった。

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世界大百科事典(旧版)内の博士の言及

【学位】より

…専門的な学問を修得したこと,あるいは学術上の創造的業績をあげたことを証明するために,大学または国家が与える称号。日本では学士,修士,博士(はくし)の三つがある。
[沿革]
 博士をはじめとする学位制度の起源は中世ヨーロッパの大学にある。…

【楽師】より

…隋が南北統一をして楽戸を長安に集めた時(6世紀末)はおびただしい数にのぼり,唐に入ってからも太常寺楽工は1万余,玄宗期(8世紀)には3万といわれる者が,順番に奏楽に当たった。唐朝でこれら楽工を教えた楽師は,楽正と博士であった。博士は国子監のとは違いふつう官位はないが,10年から15年の間に試験をうけ,成績によって官も得られた。…

【五経博士】より

…漢の武帝のときにはじまる。博士官はすでに秦代から存在したが,五経博士は五経のみを,しかもそれぞれ1経を専門に教授した。博士となることができたのは,王朝によって公認された学派に属する50歳以上の学者に限られ,学派の分立にともなって後漢代には14博士をかぞえたものの,彼らはすべて今(きん)文学者であった。…

【楽譜】より

…この角度は音の上向・下向を表す。これを〈博士(はかせ)〉と呼ぶが,音の高低を正しく記した譜を〈本博士〉あるいは〈五音博士〉,旋律線を視覚的に図式化したものを〈目安(めやす)博士〉あるいは〈仮(かり)博士〉などと呼ぶ。この〈博士〉の直線が角度の異なる一つ一つの点で表されたものを〈ゴマ点〉と呼ぶが,これは講式,早歌(そうが),平曲,謡曲に見られる。…

【声明】より

…また〈ユリ〉〈イロ〉〈ソリ〉などに代表される装飾法はほかの声楽諸分野には見られぬ多様性をもち,たとえば真言声明ではユリが20数種に分類されている。(4)記譜法 声明に用いる楽譜は〈博士(はかせ)〉(墨譜ともいう)といい,その語源は文法学,音韻学としての声明の指導者の呼称であるとされる。最も古い形態である〈古博士〉は漢字の四方に配される四声点から発する簡単な直線か屈曲線を用いるが,これが表す旋律は今日には伝わっていない。…

※「博士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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