日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガーナ帝国」の意味・わかりやすい解説
ガーナ帝国
がーなていこく
紀元数世紀ごろ、サハラ砂漠の南縁、今日のマリの北西部に建設されたといわれる帝国。当時、金を求めてサハラ砂漠を越えて渡来したアラブ人の残した記録のなかに「黄金の国」としてその名が紹介されている。しかしこの地域の古くからの住民であるソニンケ人の伝承では、この名はなく、今日のグンブ(マリ北西部)を首都とするワガドゥという名の帝国が存在したとされている。アラブ人の記録に残るガーナとこのワガドゥが同一のものであるのかどうか、まだ歴史家の間でも確定されていない。アラブ世界との金の交易で繁栄したといわれるこのガーナ帝国は、13世紀中葉に崩壊したものと推測されている。イギリス領植民地ゴールド・コースト(黄金海岸)は、独立のときこの帝国の名をとり、今日のガーナ共和国が誕生した。
[原口武彦]