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帝国 ていこくempire

翻訳|empire

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

帝国
ていこく
empire

通常は自国の国境を越えて多数・広大な領土や民族を強大な軍事力を背景に支配する国家をいう (大英帝国,大日本帝国など) 。その原型は古代ローマ帝国にあるが,近代においては海外に植民地をもったヨーロッパの列強をさすことが多い。さらに軍事力で広大な領域を支配している国や侵略主義的な大国も帝国と呼ばれる。 (→帝国主義 , 植民地主義 )

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知恵蔵の解説

帝国

帝国は、古代より、皇帝の支配する統治体や、複数の政治単位を統治する広域的支配を指し、近代以降は、植民地を領有する国家を意味した。近年では、米国内外の論者が米国を「帝国」と表現する。その理由は、米ブッシュ政権が、公然と他国の主権を侵害し、かつての列強による帝国主義的侵略を連想させたため。その表現には、(1)唯一の軍事超大国として他と隔絶した軍事力を持ち、「悪」と名指しした政権を先制攻撃によって打倒する「世界の警察官」としての行動、(2)多国間の合意による拘束を嫌い、国連などでの反対を押し切り、米国を至上の権威とみる「世界の裁判官」という意識、(3)軍事的優越性を「米国の正義の優位」と等置する政治家や知識人が世論を動員し力を得る米国の現状、などへの批判が込められている。この動向は、自由と民主主義の守護者という米国のイメージを損ない、世界秩序を不安定化させ、世界各地で反米主義を噴出させている。さらに戦争と軍拡により、財政・貿易の双子の赤字が拡大するなど、「帝国」を支える経済能力を浸食している。それらの結果、米国内でも反省や批判が台頭している。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

帝国

グローバリズムの進展に伴い国民国家を超えて出現した新しい主権の様相についての概念。イタリアの哲学者アントニオ・ネグリと米国の哲学者マイケル・ハートが共著『〈帝国〉』で提示した。世界大に拡大した資本主義体制を批判するために作り出された概念といえる。グローバリゼーションの状況を米国の一極集中による支配体制と見なすのではなく、その様相を国民国家や多国籍企業、国際的経済組織によって構成される、中心となる支配的権力を失った権力のネットワークと見なし、帝国と呼んでいる。米国の国際社会上の特別な地位と認めてはいるが、世界の政治経済上の中心的な支配権力とは見ておらず、いわゆる「アメリカ帝国主義」の主張とは峻別される。ネグリとハートによれば帝国の出現は、多様な人間の集合体を意味するマルチチュードの力の発現によって生じたという。マルチチュードは「国家」や「民族」と対立する、国籍を超えた人間存在を表す概念。資本主義社会の労働が非物質的労働の性格を強め、情報経済へと移行していくことで帝国の質を変化させるという。つまりマルチチュードが帝国を変える可能性があるとされるのである。

(野口勝三 京都精華大学助教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

大辞林 第三版の解説

ていこく【帝国】

皇帝の支配する国家。
「大日本だいにつぽん帝国」の略。 〔オランダ語 keizerrijk の訳語の一つとして「訳鍵」(1810年)に載る〕

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